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昼食難民の新書生活

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『アマテラスの誕生―古代王権の源流を探る』溝口睦子(平凡社新書 1171)

アマテラスの誕生


『アマテラスの誕生―古代王権の源流を探る溝口睦子(平凡社新書 1171)


アマテラスには多くの謎がある。

 ・万世一系の皇祖神がなぜ女神なのか?
 ・奈良でも出雲でも福岡でもなく、なぜ伊勢の神が皇祖神となったのか?
 ・タカミムスヒとの関係は?

本書では、こうした数々の疑問を解明しようとしている。

日本の皇祖神はアマテラスという女神であるとされてきたが、『日本書紀』や『古事記』をよく読むとアマテラスでなくタカミムスヒという男性神を皇祖神としている。本書では、地方神であったアマテラスが皇祖神になった経緯を明らかにしようとしている。アマテラス以前に皇祖神とされたタカミムスヒが、なぜ目立たない存在になってしまったのか。

もともと日本は八百万の神をいただくアニミズムの社会であった。しかし、北ユーラシアの北方遊牧民の勢力拡大とともに、絶対神をいただく彼らの王権神授説が周辺国に広がり、日本のヤマト王権も当時の「世界標準」であった絶対神による天孫降臨の物語を受け入れることとなった。当時の北ユーラシアの国々は、太陽神を皇祖神とする天孫降臨神話を持っていたからだと著者はいう。

天孫降臨を考察上で欠かせないのは、『古事記』や『風土記』の編纂を命じた元明天皇だろう。天智天皇の皇女である元明天皇は、草壁皇子の妃となり、文武天皇と元正天皇を産んでいる。707年即位し、708年和同開珎をつくり、710年平城京遷都。712年に『古事記』、713年『風土記』を編纂し、715年元正天皇に譲位している。

歴史学界から完全に無視されている梅原猛は、天孫降臨神話を持統天皇による創作であるとしている。天武天皇との間にできた草壁皇子の死によって、父から息子への譲位が実現的なくなると、自ら即位して、孫の文武天皇へと天孫降臨させたからだ。確かに、持統という諡には皇統を維持したという意味が読み取れる。

果たして本書は、冒頭に挙げた謎の数々にどれほど答えを用意しているだろうか。読了後も残念ながら、数々の疑問はとても氷解したとは言えない。

孫への皇位継承は東アジアに共通する神話であっても、それが祖母から男子の孫への移譲への説明にはならない。梅原説が魅力的なのは、持統天皇から文武天皇への譲位が記紀の天孫降臨にぴたりと符合するからだ。

歴史家たちは慎重すぎて、祖母から男子の孫への譲位という異常事態を説明する魅力的な説を出せないでいる。

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