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昼食難民の新書生活

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『聖なる幻獣』立川武蔵・著 大村次郷・写真(集英社新書ヴィジュアル版 016V)

聖なる幻獣


『聖なる幻獣』立川武蔵・著 大村次郷・写真(集英社新書ヴィジュアル版 016V)


四天王の鎧には獅子面と呼ばれる、魔物にも鬼にも、そして獣にも見える顔がついていることがある。四天王が踏み付けている邪鬼とは異なる顔に興味を持ったことがある。

戦国武将の兜にも同様の獣面を見ることがある。獣面といいながら、擬人化されたその表情は神秘さと奇怪さを放っているが、これらが何物なのかそしてなぜ鎧や兜の飾りになっているのかよくわからずにいた。

本書は、キールティムカとマカラの2つの像を中心に、古代から現代まで恐れられつつも敬われてきた聖なる獣が生まれた経緯や人々の間で必要とされてきた理由に迫ろうとしている。幻の獣像キールティムカとマカラは、インドで生まれて東南アジア各地に広まり、そして中国・朝鮮を経て日本へと伝えられた。

読み進むうちに、大村次郎による美しいカラー写真によって神獣のありようが手に取るように分かり、その謎が徐々に説き明かされて行く。

キールティムカやマカラは、「宗教文化の相違を呑み込んだ、より深くまたより広い領域に跨がる基層ともいうべき文化の水面下の流れ(文化の流床)の中に棲み続けている」と著者は言う。著者が「聖獣」と呼ぶこれらの像は、単なる宗教的な記号としてではなく、民族や文化を越えたところで、私達の血肉に染み付いているのだ。聖獣を前にした時、われわれは言葉に表わしがたい畏敬や戦慄を覚える。それは、昔話や説話から学習したものではないのだろう。

著者が、キールティムカの起源の1つと考えているのが紀元前1000年ごろのシリアで作られたとする儀礼用杯である。ライオンが杯の縁にあごを載せて両前足で縁をつかんでいる形で、その口には穴が開いていて、香油などを注いだと思われる、という。そして、このシリアで生まれた図像はインドに渡り、アジャンタ第17窟の壁画では、キールティムカが輪廻の輪を咥え、両前足で輪をつかんだ姿が描かれている。同様の図像は、現在のカトマンドゥで輪廻図として広く流布しているという。もう1つの起源がギリシアのゴーゴイルであり、そのうちの1人で、見る者を石にしたといわれるメデューサである。

キールティムカは、顔と両前足のみが描かれ、胴体は描かれないことが多い。キリスト教の宗教画にも、ローマ神話のクビトの影響を受けて、顔と翼のみが描かれた童顔の天使がある。幼児は胴体を描かず、顔から手や足が直接生えたような絵を描くことが多い。

ワニの顔を持ち、胴体はクジラ、魚のような尾っぽを持った聖獣は、マカラと呼ばれる。キールティムカが天井から世界を見つめ、支配しているのに対して、マカラは海や川といった水中から世界を見ている。マカラは中国で寺院の屋根に飾られる鴟尾となり、日本では鯱となった。キールティムカに比べ、マカラは世界の一部しか見ていないが、水との連想で火難を避けるために屋根に飾られるようになった。

続いて、竜やグリフィンのように翼のある神獣や一角獣などの聖なる獣が紹介される。

こうした幻獣が生まれた原因について、人間は理性的な行動だけでは解決できない際に非理性的な行動を取ることがあり、そうした非理性的なものの象徴として、キールムティカやマカラが生まれてきたとしている。長い歴史の中で育まれ現在まで生き残ってきた幻獣の存在理由を説明するには舌足らずな感がある。新書というサイズでは紙幅が尽きたというべきか、それとも元々幻獣の起源について論考するつもりがなかったのだろうか。

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