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昼食難民の新書生活

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『葬式は、要らない』島田裕巳(幻冬舎新書 157)

葬式は、要らない


『葬式は、要らない』島田裕巳(幻冬舎新書 157)

2007年の日本では、葬儀費用に231万円(全国平均)をかけていたという。著者はこれが「贅沢」だとしている。

1人の人間が最期を迎えた時の儀式費用として231万円が「贅沢」かどうかは、ひとたび海外に目を向ければ明らかになる。1990年代前半のアメリカの葬儀費用は44万4000円、イギリスが12万3000円、ドイツは19万8000円、韓国は37万3000円だったという。同じころの日本では、215万5000円だった葬儀費用が2007年には15万円以上も値上がりしている。日本人は、アメリカ人の5倍以上もの費用を葬儀にかけていてさらに増えていることになる。著者が「贅沢」というのも、確かにうなずける数字だ。

日本の葬儀が贅沢になったのは、高度成長期を過ぎてバブル経済を向かえたころかららしい。そのころ、日本経済を支えた企業の創業者が亡くなって、派手な「社葬」が流行したからだ。企業のトップが亡くなれば、滞りなく事業が継承されることを取引先に明らかにする必要がある。また、創業者の業績を称えるためにも派手な葬儀が重要になる。そうした葬儀の影響で日本人の葬儀が派手になっていったという。

著者は書き漏らしているが、日本での葬儀費用が高騰した原因には葬祭場の存在もあるだろう。かつては、葬儀はそれぞれの家で行われていたが、近年は葬儀を行うスペースがあっても葬祭場を利用するようになっている。日本人の住まいに葬儀を営めるような広間がなくなったり、多くの人々に参列してもらうために、集合住宅ではなく一戸建てに住む人々ですら葬祭場を利用するようになった。葬祭場は、一般家庭よりもずっと大きな祭壇を設けることができるため、費用がかかるようになっているのだ。

葬儀費用が高騰する一方で増えているのが「直葬」である。「家族葬」とも呼ばれるが、病院で亡くなった遺体を家や霊安施設に運んで家族だけで通夜を行い、翌日には火葬場で火葬する方法だ。直葬・家族葬にすれば、費用は50万円以下になり海外と比べても「贅沢」ではなくなる。

また、著者は葬儀費用のなかの戒名についてもページを割いている。仏教の教義にはなんら根拠のない戒名に数十万円もの費用が発生している点だ。もちろん、お寺の檀家になるような「贅沢」な人はその寺を支える義務があるので、高い戒名料を支払うのは当然であるとしている。著者が指摘しているのは、檀家にはならず葬儀の際に導師を頼んだ僧侶に戒名をつけてもらった場合だ。公営や民営の霊園の墓に遺骨を収める場合には、寺を支える必要がない訳だから、高額な戒名料を取るのは不合理である。

寺に葬られないのならば俗名でも問題ないし、自分であるいは遺族が考えた戒名でも問題ないはずだ。本書では、戒名のつけ方まで指南している。

日本の仏教が葬式仏教となったのは、江戸中期のことらしい。江戸幕府がキリシタンから改宗した人を管理するために始めた制度が一般まで広がったことから、寺が宗門人別改帳によって現在の戸籍に相当する台帳を作製するようになり、すべての人が寺の管理下に置かれるようになった。死亡した場合にも、寺の管理下で葬儀が執り行われるようになったためだ。

寺の支配から葬儀を取り戻せば、従来のような「贅沢」な葬式は必要なくなる。現にそうした葬儀が増えているという。消費者ニーズに敏感な葬儀業者は、すでに家族葬をメニューに加えているらしい。

「葬式は、要らない」どころか、「葬式なし」の時代が始まっているのだ。

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