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昼食難民の新書生活

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『アホの壁』筒井康隆(新潮新書 350)

アホの壁


『アホの壁』筒井康隆(新潮新書 350)


本書は、元々は『人間の器量』というタイトルで執筆を依頼されたという。もちろん、著者はただちに断っている。「筒井康隆が『人間の器量』となどという本を書いたら人が笑うし、売れないから」と書いているが、すばらしい企画だから売れただろうし、大笑いしながら読んだだろうにとても残念なことである。

そこで著者が考えたのは、人はなぜ良識とアホの間に立ちはだかる壁を簡単に乗り越えてアホの側に行ってしまうか。良識を忘れさせアホの壁を乗り越えさせるものは何か、ということだった。

もっとも『全国アホバカ分布考』(この本よりずっと以前から、清水ミチコは「岐阜ではバカでもアホでもなく、タワケです」という岐阜自虐ネタを披露していた)を引き合いに出すまでもなく、アホはもともとは西日本を中心とした方言であり、愚かな言動を指す言葉としてはバカの方が全国的である。だから、本書で言うアホとはバカやタワケのことでもある。

まず、「第一章 人はなぜアホなことを言うのか」では、その場の会話の流れとは全く関係の無いアホな話をなぜしてしまうのかについて考察している。言うべきではないと思いつつも、それを言ってしまうアホな行為は、強迫行為症であり不安神経症的ななんらかの不安によるという。

例えば、沈黙に対する不安ならば誰でも経験のあることだろう。初めてのデートで相手のことをまだよくは知らないためにどんな話題に興味があるか判断しかねている場合に、1つの話題が尽きてしまい、それでも長い沈黙の時間を作ってしまうのと気まずくなってしまうので、とりあえず思いついた話題を話し始めたところ、相手が全く興味を示さないにもかかわらず乗り掛かった船で最後まで話し続けてしまうような場合だ。こうした話はその内容にかかわらず「アホな話」ということになる。

「第二章 人はなぜアホなことをするのか」「第三章 人はなぜアホな喧嘩をするのか」と続くが、やはりアホな喧嘩を数多くやってきた第三章が面白い。

「第四章 人はなぜアホな計画をたてるのか」では、コカ・コーラの元社長ドナルド・R・キーオの『ビジネスで失敗する人の10の法則』から法則のタイトルを紹介している。
 法則1 リスクをとるのを止める(もっとも重要)
 法則2 柔軟性をなくす
 法則3 部下を遠ざける
 法則4 自分は無謬だと考える
 法則5 反則すれすれのところで戦う
 法則6 考えるのに時間を使わない
 法則7 専門家と外部コンサルタントを全面的に信頼する
 法則8 官僚組織を愛する
 法則9 一貫性のないメッセージを送る
 法則10 将来を恐れる
 法則11 仕事への熱、人生への熱意を失う

この章では、「批判を悪意と受け取るアホ」が面白い。計画の不備欠陥を他人から指摘されると腹を立てる人がいるが、自らがうすうす気づいていながら眼をそむけていて、自分自身で行うべきだった批判の怠慢まで非難されているように思うからだ、としている。そのため、他人からの指摘を他の理由にすり替え、悪意をもって失敗させようとたくらみ、計画の進行に支障を来そうとしている、と考える。成功した時には見返してやろうと空想するが、脳に快感を与える。「こういうアホ」は、計画が失敗した時には、以前批判した者を腹立ちまぎれに失敗の原因にしてしまうことがある。「あいつに邪魔され」たために、せっかくの計画が無茶無茶になってしまったと「アクロバット的な論理」でもって他人に責任を転嫁する。

終章では「アホの存在理由」を考察している。アホは社会の潤滑油であり、時代を飛躍させるために必要であり、発狂するほどの激烈な笑いを喚び起こし、ガス抜きになり……。「アホがいなければ人類の世界と歴史はまるで無味乾燥だったに違いなかった」と続け、「アホ万歳」と結んでいる。

アホをさんざん貶しているが、最後はアホ礼賛なのだった。

本当にこれでいいのか。


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