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昼食難民の新書生活

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『にっぽん「食謎」紀行―名物食のルーツを探せ!』伊丹由宇(ワニブックス【PLUS】新書 022)

にっぽん「食謎」紀行


『にっぽん「食謎」紀行―名物食のルーツを探せ!伊丹由宇(ワニブックス【PLUS】新書 022)

餃子から始まり、河豚の卵巣・鰻・弁当&駅弁・焼きそばなどさまざまな料理のルーツや食材の歴史や現状を紹介している。「食謎」について書き始めて30年、人呼んで「食謎探偵」だそうだ。資料を徹底的に洗い出し、現地調査をしているので、本書は「一種のサスペンスであり、謎解きであり、発見であり、タイム・スリップであり、冒険であり、食紀行である」と大風呂敷を広げているが、巻末の参考文献には新書や文庫を中心に40冊程度しか載っていない。たった40冊で「資料を徹底的に洗い出し」ですか?

著者は“自分の悪い癖”と自覚しているにもかかわらず、自慢をするのが嬉しくてしょうがないらしい。しかも、その自慢は著名人と一緒に食事をしたことやJALの職員と知り合いになってファーストクラスに振り替えてもらったことなど、読み手をげんなりさせる下品さに溢れている。そして自らを“鋭敏な舌”と形容しているが、本書には味に関して鋭敏さを彷彿とさせる記述は見受けられない。

結局のところ“フードライター”というのは、旅行や食の雑誌に「うまい、うまい」という礼讚を連発する提灯記事を書いているような志の低い女衒たちが多いということなのだろう。女衒である自覚があれば、それなりに面白い記事も書けるだろうが、この人にはその自覚すらないらしい。

著者の無能はもちろんだが、担当編集者の怠慢としか思えない意味不明の記述が頻出している。新書化される前には『あまから手帖』という雑誌に連載されたとあるが、意味不明で論理破綻の文章がなぜ2度も見逃されたのか。

例えば、弁当の歴史について書いているところで、「大阪の船場などの商店では、炒飯は昼御飯で、朝は残り物の握り飯ですませていた。そこで朝は弁当が当たり前になった(この件は。関西地区における納豆の普及とも関係してくる)。」と書いているが、たったこれだけの文章に意味のわからない表現が数々ある。

「炒飯は昼御飯で」としているが、船場の商店で昼食は炒飯に決まっていたなんて聞いたことがないし、もし仮に炒飯が流行っていたとしてもそれほど昔のことではないだろう。弁当の歴史とは関係のないことをなぜ書くのか。

「残り物の握り飯」というのもずいぶん杜撰な表現だ。「夕食の残り物」という意味だろうが、まさかそれを握り飯にするはずはないから、「夕食の残り物と握り飯」という意味だろう。しかし、「朝は弁当が当たり前になった」を「そこで」とつなぐのは論理的におかしい。夕食の残り物と握り飯が弁当へと変化し、それが「当たり前」になる過程が欠けているからだ。

また、「関西地区における納豆の普及」と書いているが、朝食が「残り物の握り飯」や「弁当」となったことで納豆が普及しなかった、とでも言いたいのだろうか。納豆に関して本書ではここでしか言及していないので意味不明のままだ。

「焼きそば」の説明で、「小麦粉から作った日本の麺であり、そばと発音が同じであるため、蕎麦と混同されやすいが全く別の中華麺である」とある。私には、論理的に破綻だらけのこの文章が書かれた意図を理解することはできないが、だれかわかる人はいるのだろうか。もしかしたら、ジョークのつもりかもしれないがオチがないのでジョークかどうかを判断できない。

この文章では主語は省略されているが、文脈から考えて明らかに「焼きそば」のことを言っている。しかし、冒頭で「日本の麺」と言いながら文末では「中華麺」と言っている。「蕎麦と混同されやすい」というが、焼きそばと蕎麦を混同するような日本人はいないだろう。いったい何のことだ。

1929年に誕生したとされる「トンカツ」の起源を説明するくだりで、いくつかの起源を紹介した後で、銀座の「グリルスイス」説があって読売巨人軍の千葉茂が案出したとあるが、これはカツカレーの発祥として「グリルスイス」が主張していることと混同している。千葉茂が巨人軍に入団したのは「とんかつ」が誕生した1929年の10年後である1938年だ。それに、そもそも「グリルスイス」の創業は昭和22年(1947)である。「トンカツ」の誕生よりも18年後の戦後のことなのだ。こんな基本的な事実誤認もあるので、著者のフードライターとしてのレベルが知れる。

「入り鉄砲出女」についても珍妙な説を展開している。江戸には男性の半分しか女性がいなかったので、女性が江戸を出ることを監視したという。この人は小学校で社会科を勉強しなかったのだろうか。幕府が江戸から出る女性の監視を関所に命じたのは、人質として江戸の藩邸に住む大名の家族の女性が逃げ出すことを禁止するためだったのは、小学生でも知っているはずだ。

とはいえ“発見”が皆無というわけでもないので紹介しておこう。辛子明太子といえば、博多の「ふくや」が有名で、“元祖”を名乗ってもいるようだが、実は下関が発祥だという。また、洋食屋のメニューに「トルコライス」というピラフ+スパゲッティ+トンカツの3つを1皿に載せた油っこい料理がある。この料理を生み出したのは、長崎の「レストラン元船」のオーナー松原三代治だったという。昭和33年のことである。トルコ風呂(ソープランド)が流行っていたので、精力をつけて頑張ってほしかったからというのがネーミングの理由だったという。

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