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昼食難民の新書生活

(新宿・秋葉原・芝浦など各地でのランチと読書)

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『食の街道を行く』向笠千恵子(平凡社新書 536)

食の街道を行く


『食の街道を行く』向笠千恵子(平凡社新書 536)


日本語は文末が単調になりがちだ。文末を意識して書かないと「る」や「だ」、「た」が連続することになってしまう。そこで安易な逃げ道として、雑誌やスポーツ紙では体言止めを多用する傾向がある。確かに、体言止めにすれば「る」や「た」が連続する単調な文章を避けることはできるが、メモ書きのような舌足らずの文章は、下品であり幼稚な印象を避けられない。体言止めを多用する文章を読まされるたびに、この書き手は日本語と闘うことを放棄したのだと思わされる。

本書にも、雑誌等に飲食店の提灯記事を書き散らしているフードライターにありがちな体言止めを多用する下品な文章が続くので、うんざりしながら読み進めた。味覚に関しては紋切り型にならないように比喩を工夫しているようだが、妙に凝った表現になっているために、美味しさを想像しにくいところも少なくない。

本書は『小説新潮』での連載を再構成した「食材の街道」のレポートである。例えば、ブリ街道は富山湾の氷見から飛騨高山まで塩ブリを運ぶ街道だった。現在は国道14号となっているが、ノーベル街道とも呼ばれているという。この沿線には、田中耕一の出身地である富山市、利根川進が少年時代を過ごした富山県大沢野町(現・富山市)、小柴昌俊のカミオカンデがある飛騨市神岡町、白川英樹が十代を過ごした高山市があって、ノーベル賞受賞者を4人も輩出しているからだ。

本書には明らかな知識不足も見受けられる。地球上の生物は海から誕生した名残で人間の羊水は海水と同じ成分比率になっているから、塩化ナトリウムをはじめ微量元素が欠かせない、としているが、これは間違い。胎児というよりもむしろ人間の細胞が海水と同じ成分比率の体液に包まれているのであり、海水を体内に取り込まなければ、海から陸に上がれなかったのである。

言葉足らずで判りにくい表現も少なくない。例えば、、塩ブリを焼くときは、串刺しにして炭火焼きするのが最高、としたあとに、「ガス火で焼く場合は、アルミ箔を受け皿に敷いて焼くようアドバイスされた」とある。単に「ガス火」としか書いてないので、最初はよくわからなかった。家庭用ガスレンジの魚焼きグリルのことを言っているのか、と読み返して気づいたが、魚の脂を掃除しやすいように、「受け皿」には水を張っておくのが一般的だから、「受け皿に水を張るのではなく、アルミ箔を敷いておけば輻射熱で~」と書けばもっとわかりやすいだろう。

一握りの塩を運んだり、街道のわずかな部分を歩いたりして、昔の人々に思いを寄せたようなことを書いているが、お遊びにも程がある。実際には、ほとんどの区間を自動車で通り過ぎているだけじゃないか。実際に歩いて見ろ、とは言わないが中途半端なレポートを読まされるのは堪らない。

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昼食時は「難民」と化して「新書」を片手に、都内各地を彷徨っています。

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