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『デフレの正体―経済は「人口の波」で動く』藻谷浩介(角川oneテーマ21 C-188)

デフレの正体


『デフレの正体―経済は「人口の波」で動く藻谷浩介(角川oneテーマ21 C-188)


本書によれば、デフレの大きな要因は団塊世代の加齢による年齢別人口構成グラフに現れる「人口の波」である。生産年齢人口=旺盛に消費する人口の頭打ちが、多くの商品の供給過剰を生み、価格競争を激化させて、売上を停滞ないし減少させてきた。

著者は銀行員だが、アメリカ流のファイナス手法には批判的だ。サブプライムローン問題で明らかになったように、ロケットサイエンティストたちが生み出した金融工学は、所詮は詐欺の手段でしかなかった。返済能力のない人々の住宅ローンすら証券化することで、危険度を薄めて売りさばくことを可能にしたが、住宅という実体とは関係の無いものになっていた。なぜそんなインチキ商品に金を出すのかは第三講で書いているが、機関投資家たちは短期的な売買での利益にしか興味がなく、投資案件の実体には興味がないからだ。

著者によれば、マクロ経済学が景気循環で説明しようとした土地バブルも団塊世代によって説明できる。たった3年間に集中して急増した世代が40歳前後になり、その子供たちがハイティーンになった頃に、首都圏と大阪で住宅の需要が高まったが、数年で需要は途絶えバブルは崩壊した。

戦後復興の中で、たまたま数の多い団塊世代が生まれた。彼らが加齢していくのに伴い、そのライフステージに応じてさまざまなものが売れ、そして売れなくなっていく。(p.126)

このマーケティングの世界ではごく当たり前の団塊世代論が、経済学の世界ではなぜか受け入れられなかったようである。

そして、団塊世代の定年退職と子供の減少による「生産年齢人口減少に伴なう就業者数の減少」こそが、平成不況とその後の「実体なき景気回復」を生み出した。2002年1月を底に回復を続けてきた景気拡大が2007年11月までの69カ月間続き、戦後最大の好景気となった。しかし、「好景気」を実感した人は少なかったのではないか。GDP成長率は2%程度の留まり、だらだら陽炎景気やリストラ景気・格差型景気・無実感景気などと呼ばれた。

本書で著者が繰り返し主張しているのは、経済状況を分析する際に失業率や前年同月比といった指数ではなく、生産年齢人口や小売販売額といった実数を使えということである。失業者数は全就業者の数%でしかないし、前年という1年前だけのデータだけと比較するのではなく、長期的な景気変動を理解するにはそうした実数を見なければ実体はつかめないからだ。ところが、経済担当官僚やエコノミストは指数ばかりを見ているから、見当外れの分析しかできないことになる。

また著者は「株主資本主義」に関して厳しい批判を加えている。旧来の従業員共同体的な企業統治への対抗策として、「企業は株主のものだ」とするアメリカ流の短期的視野の株主と長期的視野の株主を同等に扱う株主資本主義を取り入れた企業は少なくないが、短期的に値上がりした株を売り抜けようとする株主のために、企業が貸すと削減に走り、社会全体の付加価値額を停滞させたことがGDPの減少を招いているという。

日本経済の目標を「個人消費が生産年齢減少によって下ぶくれしてしまい、企業業績が悪化してさらに勤労者の所得が減って個人消費が減るという悪循環を、なんとか断ち切ろう」としている。

本書では、景気の停滞を食い止めるための目標を3つ挙げている。

(1)生産年齢人口が減るペースを少しでも弱める
(2)生産年齢人口に該当する世代の個人所得の総額を維持し増やす
(3)(生産年齢人口+高齢者)による個人消費の総額を維持し増やす

具体策として挙げているのは以下の3点。

(1)高齢富裕層から若い世代への所得移転の促進
(2)女性就労の促進と女性経営者の増加
(3)訪日外国人観光客・短期定住者の増加

所得移転は、当然のことながら進めなければならない。消費の旺盛な世代に所得を移さなければ、資産は塩漬けになるだけだからだ。

15歳から65歳以下の働いていない女性は1400万人いるといわれるが、その2~3割程度が就労すれば団塊の世代の定年退職による生産年齢人口の減少を補うことができるからだ。生活のために働いている女性たちではなく、これから働き始める女性たちは旺盛な消費活動を期待でき内需拡大に結びつきやすい。

しかし、外国人観光客や短期定住者の増加に期待できるのだろうか。政府は2019年に2500万人の外国人観光客の誘致を目指しているが、2009年の訪日外国人数680万人の3.6倍もの外国人を集めなければならないのだ。


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