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『かぐや姫と王権神話―『竹取物語』・天皇・火山神話』保立道久(歴史新書y 006)

かぐや姫と王権神話


『かぐや姫と王権神話―『竹取物語』・天皇・火山神話保立道久(歴史新書y 006)


『竹取物語』は、子供のころに誰でも絵本で1度は読んだことのあるがあるだろう。本書は、この物語から古代の言葉・古代人の自然観・古層に存在する神話の発掘という柄の大きな研究を展開している。

第二章では、名前の問題。かぐや姫の名付け親から著者は物語の舞台となったのが、大和国の西端にある広瀬・龍田両社の地域であると特定する。法隆寺の南の地域で、奈良盆地を流れる飛鳥川など7つの川が合流し、さらに生駒から流れる龍田川も加わり、河内への交通の要所となった場所だ。

さらに本書では、ヤマト王権の最高の天空神であり、火山神としての性格をもっていたタカミムスビが、王家の祖先神という神格を付与されたアマテラスに、その座をゆずった経緯を明らかにしようとしている。それは、自然崇拝が後退し、中国の王家の祖先崇拝と同じ、血統崇拝・祖先崇拝の体系が創りだされた過程でもあった。神話から神道という文明への時代の変化のなかで、竹取物語は神道の成立の過程で書かれたのである。

かぐや姫には、5人の皇子や貴族たちが求婚する。かぐや姫が、言い寄ってきた「富」「武」「官」を象徴する5人の男たちに贈り物の課題を与える「求婚難題譚」には美しい論理が隠されている。皇子たちに求めた「仏の御石の鉢」は貴石・ガラスで天竺の仏の聖遺物、「蓬莱の玉の枝」は貴金属(金銀)でその「実」は不死の薬を意味し中国の神仙の聖物を意味している。これに対して貴族たちに求めた「火鼠の皮袋」は火の精霊、「龍の首の五色の玉」は水の精霊、「燕の子安貝」は土の精霊を意味する。皇子たちには永遠性・不変性を求め、貴族たちには物質を構成する「四大」といわれる「土・水・火・風」のうち変化を象徴する「風」以外の三元素を割り振っている。これらの聖物や精霊は『列子』などの漢籍に典拠するという。

そして、この5人は歴史上の人物をモデルにしているという。石作皇子(丹比野真人島)、車持皇子(藤原不比等)、阿倍御主人、大伴御行、石上麻呂であり、この5人は『日本書紀』持統天皇の治世十年(西暦696年)の冬十月二二日条に登場する。

《持統十年十月庚寅【二十二】》◆庚寅。仮賜正広参位右大臣丹比真人資人一百二十人。正広肆大納言阿倍朝臣御主人。大伴宿禰御行並八十人。直広壱石上朝臣麻呂。直広弐藤原朝臣不比等並五十人。

また、『公卿補任』の文部天皇・大宝元年条にこの5人が公卿のリストに列挙されているという。『竹取物語』は、公卿たちを求婚の失敗者としてコケにするという政治的な側面があるのだ。

本書では、かぐや姫が中国の西王母の影響を受けて月の仙女として描かれ、また火山信仰がその背景にあると説明しているが、この点についてはあまり得心できなかった。

とはいえ、仏教や道教の影響を受けて神道が形成された過程が明らかにされるなど、日本の古代社会に関する独創的なアプローチの数々を興味深く読んだ。


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