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昼食難民の新書生活

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『戦国軍事史への挑戦―疑問だらけの戦国合戦像』鈴木眞哉(歴史新書y 005)

戦国軍事史への挑戦


『戦国軍事史への挑戦―疑問だらけの戦国合戦像鈴木眞哉(歴史新書y 005)


わからないことをちゃんと「わからない」と言える専門家を尊敬する。象牙の塔に籠もっている学者には、「わからない」と言うことが自らの権威を失墜させるかのように考えているのか、専門分野に関して知らないことがあることを恥じるあまり限定された狭い分野にしか手を出さない人が多いが、それは学者ではなく職人の態度だろう。

本書は、テレビや映画、小説で当然のように描かれる戦国合戦が、何の根拠もなしに想像で作られたものであることを次々に明らかにしている。

著者は、史料を基に軍隊の組織・構成、兵種区分、装備、動員・訓練、戦法、功名、死傷者と戦国軍事史を解き明かしていく。その中で、「私にはわからない」が連発される。戦国時代の合戦について確かな史料はそれほど多くはないからだ。特に織田家に関しては、軍事史料は皆無だという。教科書にまで記載されているが、長篠の戦いにおける鉄砲の「三段撃ち戦法」について『信長公記』に記載はなく、江戸時代の通俗小説が元になった俗説だという。

戦国時代後期に火縄銃が多用されるようになったことが、戦国合戦を変えたかのように言われるが、実は弓矢と火縄銃では有効射程距離はさほど変わらず、50メートルほどから撃ち始め、もっともよく当たったのはせいぜい18メートルだったという。古代以来、合戦の主力だった弓が火縄銃に変わっただけらしい。

そういえば、あれほどリアリズムにこだわった黒澤明の「影武者」では、油井昌由樹が演じる鉄砲兵が昼間のうちに縄をたらして天守閣までの角度を測っておき、夜間の暗闇の中で天守閣にいる武田信玄を撃ち殺したことになっていた。ゴルゴ13ならばともかく、ボブ・リー・スワイガー(『極大射程』スティーヴン・ハンター)でも不可能な狙撃だ。

また、映画やテレビで合戦のシーンといえば白兵戦のチャンバラだが、日本の合戦は古代以来の弓を使った遠戦が戦国後期に鉄砲に替わっただけで、刀を交える戦いはごくわずかしかなかったということを、「軍忠状」や「注文」といった戦闘報告書における戦傷者数を分析することで明らかにしている。

白兵戦による消耗戦になれば、両軍がともに兵を失い、新たな敵に国を奪われてしまうことになる。損害をいかに少なくして戦うかが重要だから、接戦ではなく弓や鉄砲を使った遠戦が選択されたわけだ。

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