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昼食難民の新書生活

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『快楽の効用―嗜好品をめぐるあれこれ』雑賀恵子(ちくま新書 870)

快楽の効用


『快楽の効用―嗜好品をめぐるあれこれ雑賀恵子(ちくま新書 870)


著者は、薬学部を卒業後に文学を学び、大学院では農学を修めた大学講師。本書は、その知識と教養を余すことなく発揮した優れたエッセイになっている。

第一章「煙草の愉楽」、第二章「味覚の迷宮」、第三章「砂糖への欲望」、第四章「スイートメモリー」、第五章「最後の晩餐」、第六章「デブの奈落」。煙草、甘味、砂糖、死刑囚の食事、ファストフードと“あれこれ”の話題をテーマにしているがどれも面白い。

この本が面白いのは、大学教授の筆すさびと違って、著者の価値観が読んでいてヒリヒリするような筆致に現れているからだ。ある意味、著者がその存在を賭けた命がけの文章となっているからだろう。ことに、戦中戦後の甘味に飢えた母子に対するまなざしには、当時の政府に対する静かな怒りを込めた文章となっていて胸に迫るものがある。

嗜好品という言葉は、欧米にはないらしい。著者は、嗜好品を以下のように定義している。
「必要か不必要かという基準ではなく、健康にいいか悪いかということでもなく、少々の傾きや乱れや歪みを抱えながら、食事とは異なったものを嗜むということ、それに割く時間は、わたしたちが自分の外側との釣り合いを保つための、いわば、綱渡りのときにもつ棒のようなものだろう。」

肉体のエネルギー源や栄養源にならなくとも、心の栄養源として均衡を保つためになくてはならないのが嗜好品なのである。たとえ毒であっても私たちは嗜好品に手を出さざるを得ない。単純で浅薄な人間理解しかできない合理主義者には到底容認できないとしても、そうした複雑で不合理な行動の中で私たちは生きている。

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